17 - 情報提供及び研修活動[編集]
連帯健康省は2004年、「大事故・テロ・自然災害:医療関係者がとるべき行動」と題した冊子を配布しました。この中の「セクト的逸脱行為の危険:災害現場におけるセクトの侵入」と題された章では、こうした状況におけるセクト団体の意図や行動について記載してあります。災害現場においてセクトが被害者に接近することが増えていることから、注意を呼びかけています。
雇用・労働・社会統合省[編集]
福祉活動総局[編集]
雇用労働社会統合省及び連帯健康家族省は、セクト的逸脱行為への対応と防止対策に最も関わりがある省です。社会福祉関連法令(労働法典・社会保障法典・公衆衛生法典・家族社会扶助法典)と多角的に関係してきます。セクト団体は主に、精神的に不安定な人や困難に陥っている人、社会的に疎外されている人や保護を必要としている人などを狙っているだけに、憂慮すべき状況です。 こうした状況に対応するため、この2省は、監視課と各局の動員を強化しました。そうして、公共機関及び民間アソシエーションの関係者による「プロのネットワーク」が形成されました。 これと並行して、この2省は、セクト的逸脱行為に関する常設的な情報提供ツールを導入することにしました。これは、この2省のホームページの掲載事項のひとつを構成することになり、MIVILUDESや関係省庁、そしてセクト関連アソシエーション等のホームページへとリンクします。これは、2005年に利用可能になる予定です。 幼少期に関わる問題も憂慮すべき状態が続いており、監視活動を様々な形で強化していく必要があります。特に、障害を持つ子供たちを守るべく警戒をしなくてはなりません。 2004年の最終四半期、福祉活動総局(DGAS)は、その担当分野であるセクト脱退者の支援活動(社会復帰・住居・収入・社会的扶助)において発生している問題について検討をしました。福祉活動総局は、2005年の初めには実践的な活動案を、家族と個人を守る会(ADFI)などの関係団体(アソシエーション)に対して提案していくことになっています。それは、社会支援活動に携るアソシエーションのボランティアの方々に対する意識喚起及び研修、という形になるでしょう。また、福祉活動総局は、社会福祉関連事業の従事者全体に対して、セクト的逸脱行為の問題について意識喚起をする必要性も認識しています。このため、社会福祉従事者の研修センターのネットワークの責任者たちとの会合を開きました。
雇用・職業訓練総局[編集]
2003年12月5日に労組が結んだ全職種全国協定(ANI)、及び、終身的職業訓練及び社会的対話に関する2004年5月4日付け法律第2004-391号により、職業訓練制度の本質が大きく変わりました。 この分野における法的変更は他にも行われました。それは、地方分権に関わる2004年8月13日付け法律第2004-809号の、自治体(特に地域圏議会)に帰属する義務と新たな権限について定めた「地方の自由及び責任に関する条項(第3章)」によるものです。 これらの構造的変化は、研修(職業訓練・自治体研修・企業研修・雇用者研修・個人研修)の運営者の責任負担の増大、そして、人的資源(研修を受ける権利・能力向上・専門職化・公認職業資格を取得する権利・既得能力び経験の認定など)及び所轄地域のより良い管理、を狙ったものです。 このような急激な進歩の中、職業訓練制度の監督と調整の任務も、適応化・近代化しており(参照:法の簡素化に関する2004年6月24日付け政令)、案件ごとの審査(=取決め)から、受給者搾取に特有の事情を考慮した上での批判的審査(=活動)へと移行しています。職業訓練に関連する活動に対する認識を高めることに繋がる筈です。 また、「セクト的逸脱行為に直面する公務員のためのガイド」において指摘された行政裁判の判例抜粋に加え、ボルドー行政控訴院が2004年11月18日に下した判決は、雇用労働社会統合省の見解を後押しするものとなりました。その判決は、次のような指摘をしています。
AvatarやObjectif butという名称の研修は、「シンプルで具体的な経験を通じて」、もしくは、「直感能力」を発展させることによって、「個人的な目標を発見すること」や「プライベートと仕事の両面において自分の生き方を取り戻すこと」を参加者に提案しているが、そのようなことは、労働法典第L-900-2-6条が定める「知識の習得・維持・向上のための活動」であると見なすことも、同条のいう「能力の総括診断を可能にする活動」であると見なすことも出来ない・・・ また、アキテーヌ地方圏の知事(共和国委員)が、そのような研修団体に対して公費を拠出することを拒否したり、前出の労働法典第L-920-10条で定められた納税義務を某団体に課したことは、正当なことである。
職業訓練の分野で見つかっているセクト的逸脱行為の危険性は、個人を傷つけ侵害する恐れがある「まやかし的行為」にあります。それらは、ウソの宣伝や紛らわしい宣伝(国の認可を受けているという宣伝をする組織もありますが、国はそのような認可は一切行っていません)を伴って行われます。宣伝手段は多様化(ホームページや関連著作物が増加)しており、個人(雇用者及び非雇用者)や企業がセクト現象に直面する危険性が増えています。 提案されている活動内容の多くが、職業的能力の取得や、職業的資格の取得・維持とは、直接的に関係が無いものです。 研修の目的や内容が曖昧・難解であること、あらゆる人を対象としていて、標榜されている研修の内容や目的に相応していないようなものであること、こうした特徴があることを覚えておく必要もあります。 職業訓練の監視部門が、極小組織や、自称「フリー研修員」の個人サービス提供者とぶつかることが増えてきています。中には「認定臨床医」を自称して「目玉商品」を販売する者たちもいます。彼らは、資格認定への道を提案することもあります。 これらのサービス提供者は、大抵の場合、ネットワーク的な組織に属しています。彼らの活動方法、サービス提供内容の多様性、集客手段の幅(講演・セミナー・実習・書籍・自立援助・補助機材)などが、セクト的逸脱行為の危険性を暗示している可能性があります。 「研修」の受益者である個人や企業は勿論、その研修サービスを買ったり、資金提供をしたりする個人や企業にも、これらの危険性は及びます。
18 -- 県庁の活動[編集]
県監視室[編集]
目的[編集]
県監視室は1999年に設置された重要な監視機関で、
- 地方分散している国の諸機関の間での情報交換を促進する
- 国の活動が分散化するのを避ける
- 各県内におけるセクト的性格を有する団体の活動について国に情報提供をすると共に、危険性を予見する
- 国の活動を調整する
ことを可能にしています。
会合[編集]
2004年度中には、海外県1県を含む35県で監視室が召集されました。ローヌ県やパリでは、2回召集されました。35県中、今回初めてこの機関を設置したのは13県(アルデシュ、オード、コレーズ、コート・ドール、エロー、イル・エ・ヴィレンヌ、アンドル、アンドル・エ・ロワール、ランド、ロゼール、マルヌ、ムーズ、セーヌ・サン・ドニ)です。1999年以降に監視室を設置したのは、2004年12月31日の時点で88県に上っています。 2003年度中には全県の半分近くが活動に取り組んだことに触れておきたいと思いますし、MIVILUDESが2004年度向けの10の提案の中で、監視室を少なくとも年1回開催することを知事(共和国委員)に促し、この機関の活性化を求めたことについても触れておきたいと思います。 2004年度にこの機関を召集した県が全体の34%だけだったことについて、触れておく必要があります。MIVILUDESや内務治安地域自由省の強い意向にもかかわらず召集が少なかったことに、懸念を抱き兼ねないからです。 知事(共和国委員)の何名かは、管轄する県内で「セクト活動」が少なく、そうした機関を設置したり維持したりする必要性や有効性が無い、と判断しています。他の何名かは、セクト問題を公安の問題と捉え、県安全会議で対応しています(サヴォア県など)。 監視室の会合の議事録を注意深く検証すると、県レベルでの活動の全容が分かります。このように、参加メンバー・セクト事情・国家機関の関わり・有益な対策・奨励すべき対策などの方向性を引き出すのです。
参加メンバー[編集]
司法を代表して参加しているのは、主に検事やその代理です。コート・ドール県のように、控訴院の検事総長が参加しているケースもあります。警察及び憲兵隊は特に積極的に参加しており、県内におけるセクト対策活動に関する報告を行っています。 セクト問題と余り関係がない設備局・農業局・獣医局を除けば、全ての国家機関が参加しています。 2003年のMIVILUDESの活動報告書の提言を受け、県内の市町村長会の代表者や県議会議員が出席することが多くなっています。 (こうした問題への対応が)県議会の任務であることから、社会福祉や連帯の問題を扱う県の諸部門が、未成年者や弱者(障害者・高齢者・社会復帰最低所得受給者)をセクト的逸脱行為から守るよう、一層気を付けるようになっていると思われます。こうしたことから、福祉事業や母子保護事業の代表者の参加が増えています。 最後に、県家族協会連合(UDAF)・家族と個人を守る会(ADFI)・精神操作防止センター(CCMM)などのアソシエーションも出席し、家族や被害者たちが行っている提訴に関する報告を行っています。幾つかの県では、電話相談(しばしば匿名)や家族との面会に関する統計をまとめています。パリ地域圏内の各県を、その例として挙げることが出来ます。
セクト事情[編集]
監視任務をきちんと行うため、MIVILUDESは、警察や憲兵隊から得る情報や独自調査による情報に加え、県監視室の分析結果を優先的に活用します。このため、既に認識されていた団体の存在を再確認すると同時に、新たに拡大している組織についても確認が出来ます。「Kryeon」や代替療法・自己成長などを謳う混沌とした「New Age(ニューエイジ運動)」に関する情報や、ガードが甘い公共部門・高齢者・障害者・求職者などに対する勧誘未遂の情報は、こうして指摘されました。例えばムルト・エ・モーゼル県では、社会復帰最低所得(RMI)受給者を対象とした社会復帰契約プラン作成において逸脱行為が存在したことが指摘されています。 最後に、演劇などの文化活動の分野において信者勧誘の新たな手口が出現していることが確認できます。「グル」が「現代的臨床医」に転向していることも確認できます。
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