MIVILUDES2004年度報告書
目次
はじめに
MIVILUDESは2003年度報告書において、「セクト的逸脱行為」の概念を定義するよう提案していました。 今回、セクト現象の分析と制圧を任されているMIVILUDES(Mission interministérielle de vigilance et de lutte contre les dérives sectaires =府省間セクト的運動警戒対策本部)には、微妙であり且つ極めて重要である「危険(性)」という角度から、この現象の新たな進展状況について示そうとするものであります。 予防対策を優先的に行うことで、MIVILUDESは与えられた義務を果たしております。
- セクト的逸脱行為がもたらす危険性や被害について国民に伝えること。
- 公共の自由の尊重しつつ、セクト団体の陰謀に対して国家権力が講じる予防的措置や抑止的措置のコーディネーションを促進すること。
当報告書の第一部「活動」においては、過年度の総評を行います。最初に、実施された法改正について検証します。この点においては、2004年度は重要な年だったと言えるでしょう。生命倫理に関する法律、及び、精神療法に関する法律は、我々が取り組んでいる分野における前進であり、クローン生産のプロパガンダに歯止めをかけ、逸脱行為の危険と同居している専門家たちの活動に対する監督指導の強化につながるものといえるでしょう。MIVILUDESの各支部の活動は、定期的に開催される執行委員会及び指導委員会(方針決定委員会)の作業によって検証されています。
この第一部ではまた、地域担当者や県庁警戒対策本部などによる地域レベルの活動についても報告を行っています。そして更に、国会での質問書(約50件)、及び、それらに対する大臣からの詳細な返答についても、総括を行っています。 次に、執行委員会に参加している各行政機関の報告書を取り上げますが、それらは、対策の多様さと同時にそれらの補完的性格を示しており、こうした行政体制が、総合的な公共政策の基本を成すことを示しています。
更に、新たな試みですが、被害者救済を行っている主な任意団体(アソシエーション)の活動についての総括を行います。
当報告書の第二部「分析」においては、「セクト団体の危険(性)」について、その特徴(特殊性)や異なる規模(次元)を検証します。 支配や損害という概念をもとに、MIVILUDESの指導委員会のメンバー・精神科医・心理学者・法学者・哲学者などの専門家たちが展開させた説の総括では、隷属状況下に置かれていた被害者が受けた被害の大きさを計り知ることの難しさが浮き彫りにされています。 そこで、こうした状況を改善し、公正な損害賠償のための必要不可欠な条件である、犯罪行為責任者の明確な特定に至ることが可能になるよう、考察の手がかりを提示しています。この中の1章では、刑事裁判及び民事裁判における主要な判決について触れています。重要な判決が幾つか下り、判例が豊富になりました。
第二部ではまた、実践的なアプローチとして、職業研修・健康・教育など、セクト団体が市場獲得を狙っている分野についての調査を行っています。 危険に晒されている子供の数が減少しない厳しい状況の中、MIVILUDESは、未成年者の保護を重要課題として取り組んでいます。 この件に関する章においては、閉鎖された共同体の中で育てられ、外部との接触を阻まれることで未来の開花が保証されていない子供たちに対して、セクトの危険性がもたらす事態についても述べています。MIVILUDESはまた、自己確立の最中である青少年についても取り上げたく思い、特定のセクト団体が、インターネット上の匿名性を利用した交流を通じて、どのような勧誘の言葉を使うのか、示すことにしました。悪魔崇拝のケースが、その好例として挙げられています。
最終章では、MIVILUDESによって行われている国際的連携について触れ、諸国が行っている政策の概要を示しています。考え方の違いは、しばしば微妙ですが、フランスの非宗教性の概念を説明し、その擁護を促しています。
第一部 活動
11 - 立法関連活動
1 - 精神療法医の資格に関する規則
立法者はここ数年、精神療法を希望する人たちを守ろうとしています。精神療法を謳う人の数は2万から3万に達する状況ですが、その人たちは以下の4つのカテゴリーに分類することが出来ます。
- 精神科医、医師会に所属する専門医で、薬を処方することを認められている者。
- 博士課程終了証書を持つ心理学者で、フランス心理学者学会の倫理規定に従っている者。
- 大学卒業証書を所有もしくは所有していない精神分析医で、大概の場合に思想学派に属している者。
- 上記のカテゴリーに該当しない精神療法医。
MIVILUDESは既に2000年度の報告書において、この職業に関する規定が不在となっている問題を取り上げ、新療法として行われている特定の治療行為がセクト的逸脱行為の可能性を秘めているにも拘らず、何の罪に問われることなく、誰でもこうした行為を行うことが出来ることの問題を取り上げました。
2003年10月8日、ベルナール・アコイェール議員から出された精神療法の規制に関する修正案を、国会は全会一致で可決しました。この修正案において、精神療法の実施は、政令により定められた資格を有する精神科医・医者・心理学者のみに認められることになりました。この修正案はまた、資格を有していないものの、既に5年以上前から治療行為を行っている者については、知識と実習について3年以内に審査委員会の検定を受けて合格すれば、仕事を継続することが出来るものと定めていました。
この修正案は、議論を重ねた末の2004年7月30日に可決され、2004年8月9日付の「保健政策に関する法律第2004-806号」に加えられました。この条文によって、精神療法医の呼称を使用できるのは、精神療法医名簿に登録されている専門家のみとなりました(第52条)。この登録は、国の代理人が作成する県ごとのリストにまとめられ、当該者が受けた教育課程や研修内容について記載されることになります。この名簿への登録については、医学博士・有資格の心理学者・同業者協会リストに正式に登録されている精神分析医が、その権利を持っています。この措置により、勝手に医療行為を行っている者を見極めることが可能になるでしょう。しかしながら、逸脱行為から患者を守るということを、可能にするわけではありません。
2 - クローン生産の有罪化、及び、生命倫理に関する法律における刑事罰則
2004年8月7日、2004年8月6日の法律第2004-800号は官報に掲載されました。その中の数ある条項の中で、以下の文は、優生学及びクローン生産に係る行為を有罪化し、懲役30年・罰金750万ユーロの科刑としています。
- 人の選別に繋がる優生学的意図による行為の実行(第214-1条)。
- 生存者もしくは死者と遺伝学的に同一である子供を誕生させることを目的とする行為の実施(第214-2条)。
この法律ではまた、これらの違反行為が組織的に行われた場合(第214-3条)や、そうした組織に参加したり、刑法の第214-1条及び第214-2条に定められている罪のひとつの準備を目的とした合意に参加した場合(第214-4条)には、無期懲役・罰金750万ユーロの科刑としています。また、新刑法の第511-1-2条は、優生学やクローン生産を支持するあらゆる形態のプロパガンダや広告に対し、懲役3年・罰金4万5千ユーロを科すと定めています。
この法律の公布後直ぐ、刑法の第214-4条及び第511-1-2がラエリアン・ムーブメントの行為や指導者たちに対して適用できる条件について、MIVILUDESは法務省に対して問い合わせをしました。この後、George FENECH国会議員が2004年8月31日に、前出の有罪化を実際に適用するための措置に関する質問書を、法務大臣に提出しました。 法務大臣は2004年10月5日、次のような返答をしました。
「・・・まず、ラエリアン・ムーブメントと関係がある会社や研究所の存在を確認しなくてはなりません。また、それらの組織が、例えば配偶子の提供者を探すなどの活動を継続したり継続しようとしていることを、確認しなくてはなりません。仮にそうである場合には、そうした活動への参加の度合いに関係なく、新法によって定められている全ての罪が適用されることになるでしょう。同様に、セクト団体が国外に本拠地(所在地)を置いている場合であっても、その代表者は、フランス国籍を有していれば、科刑されることになります。また、『クローン客』と呼ばれる犯罪行為、即ち、クローン生産のために細胞や配偶子を提供する行為を罰する場合にも、法の国外適用が規定されています。この他、クローン生産を実現するための実際的な行為や優生学的行為に手を染める医学専門家たちは、それぞれの罪について起訴されることになります。最後に、刑法の第511-1-2条は、あらゆる形態のプロパガンダや広告を科刑対象としています・・・ セクト的性格を有する団体の責任者やメンバーの責任を問える要素(情報)が集められ得る場合、法務大臣は、この新法に照らして、法務省が刑法を厳格に適用するよう、監視を怠らないことを保証します。」
立法者から出されたメッセージは、フランス・ラエリアン・ムーブメントに直ちに受け入れられたようで、「法に従い、クローン生産を行わない」ということを知らせる広告を、2004年8月28日に掲載しました。
12 - 省庁間活動
MIVILUDES指導(方針決定)委員会
「MIVILUDESの本部長は、首相により任命された有識者から成る指導委員会を定期的に召集する。この委員会は、セクト的逸脱行為に対する国の熟考を培い、MIVILUDESの活動方針を引き出し、その活動の評価を容易にすることに貢献する。」
指導委員会は2004年度中に4回開催され、そのうちの2回(1月15日と6月30日)は、執行委員会と共に開催されました。
1月15日の会議では、指導委員会と執行委員会のメンバーが集まり、2003年度報告書を再読しました。その数日後、「セクト的逸脱行為」と題された報告書が、LANGLAIS対策本部長より首相に提出されました。その後の1月26日には、報道関係者に発表されました。
4月28日の会議では、「共和国における非宗教原則の適用に関する検討委員会」の事務局長であるRe'my SCHWARTZ氏の話を聞きました。同氏は、セクト現象に関わる問題が、検討委員会として扱うには過大且つ微妙な問題であることを述べられました。同氏はそれでも、MIVILUDESの本部長の話を聞かれました。SCHWARTZ氏は主に、非宗教原則誕生の歴史的側面、とりわけ、1905年の教会と国の分離、及び、それに由来する共和国の中立性について、話をされました。同氏はまた、宗教に所属することを公然と表現する物や服装を公立学校において身に纏うことに関する法律に対して、検討委員会が賛成の意を示した理由について述べました。その後、指導委員会のメンバーとの間で議論が交わされました。「非宗教性の一世紀」と題された国務院の報告書についても、意見が交わされました。その他、休日、病院における非宗教性原則の尊重、移住による問題などについても意見が交わされました。
6月30日の会議では、MIVILUDESの本部長が「セクトと非宗教性」セミナーの総括を行い、科学技術省や国立高等研究院との提携を導いたこのセミナーのイニシアティブを評価しました。こうした意見交換は、セクト的危険の防止に関する政策を強化することにつながるでしょう。 また、2003年度報告書における10件の提案のうちの1つ、「セクト問題について法律関係者に注意を喚起する」に因んだシンポジウム、「セクト的逸脱行為に直面する弁護士」について意見が交わされました。被害者への損害賠償の問題が、重要であるように思われます。セクト被害者の救済を民事責任の分野で行う方針について、CAZALLE氏は提言しました。
医師会の代表は、被害者の扱いについての情報(指示)を、医師たちが待ちわびている状況だと話していました。
MIVILUDESの本部長は、セクト団体被害者の損害賠償拡大の可能性について研究を行う作業グループの設置を提案しました。
2004年度の10件の提案のうち、1つについて議論がなされました。法的な提案である「提案№2」の、「薄弱状態にある人の存在を通報することを奨励する」です。これには、法務省の代表、医師会、国務院などにより、多くの意見が寄せられました。詳しく述べますと、職業的守秘義務を負う人たち(医療関係者、弁護士・公証人などの法律関係者)が、業務上知りえた詐欺的背信行為について、司法機関に告発することを認めるというものです。
この会議において、MIVILUDESの本部長は、今後の活動方針を以下の通りにまとめて提案しました。
- セクトの危険の定義について更に検討する
- 被害者が受けた損害についての民事賠償の可能性を調査する
- 青少年に伝えるメッセージの内容について、文部省と共に考察を進める
- 悪魔崇拝についての考察調査を続ける
- メディアと共に情報伝達に取り組む
- MIVILUDES内に「資源センター(情報センター?)」を設置することの適切性を検討する
指導委員会の最後の会合は、2004年10月15日にランス郡庁で開催されました。ここでは、「セクト的逸脱行為に対する公務員用ガイドブック」の案と、「セクト主義、原理主義、狂信、共同体主義」に関する問題という、2つの重要な事項が取り上げられ、議論されました。
委員会のメンバーは、公務員向けの情報提供と研修を目的とするこのガイドブックを、好意的に受け入れました。実用的な面と教育的な面が支持されました。医師会の代表は、このガイドブックが公立医療機関で十分に配布されるように求めました。国防省の代表は、このガイドブックが全ての憲兵隊に配布されることを望みました。参加者の多くが、「公安を乱す」という概念についての的確さを称賛していました。海外県及び海外領土の状況に関する意見も述べられましたが、特殊性が考慮されなければならないでしょう。そして、公務員の職業倫理や共和国の価値感を考慮した姿勢が加えられなければなりません。
MIVILUDESのメンバーのひとりの予備報告は、セクト主義・原理主義・狂信・共同体主義の概念を定義することを重視したものでした。既存宗教内部に起こり得る逸脱行為や、イスラム教の立場についても、深い議論が交わされました。
最後に、指導委員会は2005年1月13日に、2004年度報告書の原案について意見を求められました。非常に建設的な意見交換が参加メンバーの間で行われ、それらの意見は報告書の編集に反映されました。
執行委員会
「MIVILUDESの本部長は、関係省庁の代表者によって構成される執行委員会の委員長を務める。この執行委員会は、本部長の招集により、少なくとも年に6回開催される。議題は、本部長によって決定される。」
2004年度中、執行委員会(CEPO)は6回開催され、そのうちの2回(1月15日と6月30日)は、指導委員会と共に開催されました。
3月3日の委員会では主に、2003年度の活動報告書の発表後に行政機構・世論・外国から寄せられた反響について、意見交換が行われました。外務省の代表は、セクト的逸脱行為の概念に対して良い反響があったことを強調しました。マスメディアの記事の殆どが肯定的だったとの報告がありました。 10件の提案をまとめるに当たり、処方規定の変更、司法手続きにおける社会調査の改善、研修者募集情報の監視、被害者援助に関して、とりわけ多くの意見交換がなされました。 MIVILUDESの本部長は、これらの点が、2004年度の活動の主軸となるよう求めました。 特定の任意団体が行政文書開示請求審査委員会(CADA)に対して行う行政文書開示請求に関しては、規定が設けられました。ホームページ公開について話し合い、サイトの枠組みと項目が発表されました。
5月6日の会議での重要な議題は、行政機構の具体的行動に関することでした。そして、偽装労働に関わる違法行為、「Enfant Indigo」論、閉鎖的共同体の行為について、検証が行なわれました。 この総括は、部分的ではありますが、地域レベルや中央レベルにおける行政機構の結束状況を見極めることを可能にしました。 文部省における「セクト連絡員」の研修、ポワティエの高等師範学校の共同セッション、パリ市役所幹部の研修など、公務員の研修についても話し合いがもたれました。公務員の研修については、MIVILUDESが教官の研修を行い、他の公務員の研修については各省庁が引き継いで実施するよう、決定しました。 本部長は、活動報告をオーストリアで行いました。外国(オーストリア・イタリア・ルーマニア・ロシア・スペイン)における活動についての情報が、執行委員会のメンバーに定期的に伝えられています。
9月29日、「セクト的逸脱行為に対する公務員用ガイドブック」の案が提示されました。良い意見交換が行われ、公務員に対する情報提供と研修用の道具が、より良いものになりました。執行委員会のメンバーは、このガイドブックの編集と配布に、大きく寄与しました。 同じ頃、MIVILUDESの本部長は、2004年度の活動報告書の方向付けを発表しました。中心となるテーマは、「セクトの危険」です。本部長は、省庁レベルや地方レベルにおける「担当部署の活動」に関する報告について、執行委員会に協力を求めました。 内務省の代表は、教会と国の分離に関する法律の記念日に際し、今まで以上に非宗教原則に光を当てることを提案しました。 法務省と文部省の代表は、親権の問題が取り上げられることを求めました。リヨンの控訴院においては、宗教的な理由から子供を学校に行かせたくないという親の訴訟があるということです。
最後になりますが、執行委員会は国会の質問書とその回答について、定期的に情報提供を受けていました。
13 - 国会活動 質問書
2004年1月1日から同年11月30日までの間に、50件の質問書(2003年度は33件)が提出されました。これら全てが国会議員の提出によるものです。質問書を最も多く受けたのは、法務大臣・社会問題大臣・保健大臣で、次いで内務大臣・首相でした。教育大臣・経済金融産業大臣も1件ずつ受けています。
内容で多かったものは、「サイエントロジー(14件)」「エホバの証人(3件)」で、その他に「Kryeon(Kryon)」「Enfants indigos」「Tabitha’s Place」「安楽死教会」がありました。 アブ-ピカール法はそれ自体で7つの問いを提起していました。また、生命倫理法に含まれているクローン生産に関する規定について、医師の守秘義務と法的保護について、更には、精神療法医やソフロロジー医の規制(4件)について、そして、医療機関内や災害地における入信勧誘についても取り上げられました。 幾つかの回答は、新たな観点を示すものであったり、国の見解を明確にするものとなっていますので、以下に引用いたします。
教育 / 子供
家庭内学習をしている未成年者 / セクトの影響
「1998年12月18日の法律の定めるところにより、家庭内学習をしている未成年者に対する義務教育については、教育省の監視委員によって定期的に審査が行われています。2002-2003年度には、1156名が家庭内学習をしていました。その中の何人が「ニセ宗教」的理由によるものかを把握するのは、とても困難です。これは、親が理由を正確に述べないことに因ります。多くの調査の結果(677名分)を見ると、かなりの割合(10-20%)の生徒が、ご質問の対象となっている人たちに該当しています。学習の評価義務を親が怠った場合、教育委員から検事に対して自動的に通報が行われます。これにより現在、数件の訴訟が行われています。既に、子供を親から引き取ることになったケースも数件あります。」
教育プログラムにおけるセクト現象の情報提供
「教育省内におけるセクト対策(通達第2002―120MEN-DAJ)と同時に、学校の基礎となる価値感を繰り返し伝え且つ明快に肯定することにより、社会的疎外についてや、セクト団体への加入に結びつく危険性について、生徒を啓蒙しなくてはなりません。小学校から高校まで義務となっている公民教育プログラムは、市民権の基礎を成す知識・価値観・原則への個人的適合を促進するように作成されています。「自由」「権利」「義務」「公正」「安全」というテーマの下、年齢とレベルに応じ、セクト現象について考えることが可能になるでしょう。」
健康
未成年者の保護 / 医療関係者による暴力事件告発
「子供の受け入れと保護に関する2004年1月2日の法律第2004-1号の第11条(第1節)及び第12条により、子供の虐待を告発する医療関係者の保護に関する見直しが行われました。この条文は、刑法第226-14条第2節を修正し、公衆衛生法第L4124―6条の最後から2番目の節を削除するものです。これは、“職務中に発見した肉体的もしくは精神的な虐待行為や剥奪行為、暴力・性的暴力・精神的暴力だと疑われる行為について、被害者の同意の下で検事に告発する医師”が守秘義務を課せられることなく、刑法第226-13条第2節に定められている処罰を受けることもない、ということです。また、被害者が未成年者であれば、その人の同意は必要ありません。尚、公衆衛生法第L4124―6条の最後から2番目の節、医師の懲戒や処罰に関する規定条項は、失効することになります。」
医療機関内における勧誘
「医療機関内において利用者を代表(代理・代弁)するとしている団体(アソシエーション)の認可条件や認可取消し条件を定める政令を準備している、と大臣は明言しています。大臣はまた、省内の各部門がセクト的逸脱行為の危険性について非常に注意深くなっており、そうした環境においては、前出の政令で定められた基準に従い、認可申請を入念に審査することが可能になるでしょう、と述べています。」
被災地において
「厚生・家族・障害者省は2004年の初めに、「集団事故・テロ・自然災害 : 医療関係者用ガイドブック」と題した49ページに及ぶ冊子を出版・配布しました。この冊子の44ページと45ページのテーマは、「セクト的逸脱行為の危険 : 被災地におけるセクト侵入」です。ここでは、セクト団体が被災者に近寄る時の手口についての説明があり、そうした場所で益々存在感を増しているセクト団体について警戒するよう、救援参加者に呼びかけています。」
任意団体(アソシエーション)
「1901年法に基づく任意団体」と「セクト団体」
「所謂セクト団体に対しての特別な法令はありません。団体の設立に関する事も含め、一般法が適用されます。セクト的な団体の多くが、1901年7月1日の任意団体契約に関する法律(アソシエーション法)に則って設立されています。申請書類が物質的に揃っていれば、行政機関は如何なる場合においても、その受領を拒否することが出来ません。受領証を発行しなくてはならない義務があるからです。行政がセクト団体を排除することを可能にするような審査は、存在しないのです。しかしながら、アソシエーション法第3条の定めるところに従い、全ての団体と同様、セクト団体も、法や道徳に反する目的や、国土の完全性や共和国政体を脅かすような目的を有していてはいけません。上記の場合、政府はアソシエーション法第7条の定めるところに従い、解散手続きの開始を決定することが出来ます。」
建物(場所)提供 / 文化団体の会計報告義務
「文化団体や組合など、自治体の利益の範囲を越える目的を有し、合法的に補助金を受けることが出来ない団体の場合、建物や機材等の提供については、補助金と同一視してはいけません。この場合、団体から自治体への会計報告は強制ではありません。」
エホバの証人 / 文化的資格
「エホバの証人が拒否している輸血について最高決定機関は、公序を脅かす要素ではないとの判断を下しました。しかしながら、そうした行為の背景に個人の自由を脅かす圧力があると医療関係者が判断し、暴力・脅迫・ゆすり・強要が継続的に行われていると認められる場合には、加害団体の解散を視野に入れた告発を司法機関に行うことが出来ます。」
エホバの証人 / CAVIMAC(聖職者年金)への加盟
「エホバの証人の聖職者制度への加盟は、当該条項である社会保障法の第L721-1条及び第R721-1条からR721-12条までの条項の定めるところに従って実行されました。もとより、このような制度の存在は、非宗教の原則に反するものではなく、今日でも、非宗教の原則に反するものになるという理由が見当たりません。」
税制 / 役務譲渡の記録
「税法第757条第2節として編集された1992年度の金融法第15条は、役務の譲渡を受けた際の税務署への申告や登記を義務付け、その他の贈与と同様に、譲渡税の対象とすることとしています。譲渡を証明する文書が無い場合には、受贈者は、規定の用紙(№2735)を使用して1ヶ月以内に税務署に申告しなくてはなりません。これらの条項は主に、団体(アソシエーション)に対して行われた譲渡に対して適用されます。」
不法労働 / 監視
「セクト的性格を持つ団体内部における不正な行為に関しては、労働監督局が既に立入り検査を実施しています。例えば、ウール県の労働監督局は1996年と1998年にエホバの証人に対し、労働法に違反する一連の行為についての違反調書を作成しています。それから、DILTI(不法労働対策省間委員会)は雇用労働省内に設置された対策グループを構成する委員会で、2002年11月に首相直属に設置されたMIVILUDESと協力しています。」
アブ-ピカール法の適用状況総括
「刑法第223―15―2条に定めるところの無知もしくは薄弱状態に付け込む行為に関してですが、2003年10月1日現在、3件の予備捜査と5件の予審が行われています。3件の予備捜査の内、無知もしくは薄弱状態に付け込む行為に関する捜査2件が立件に至らず、偽装労働に関する1件についても立件に至りませんでした。薄弱状態に付け込む行為と詐欺に関する5件の予審については、1件が不起訴、4件が審議中となっています。」
「法務大臣は国会に対し、2001年6月12日の法律第1条に定められた違反行為について有罪判決を受けたセクト団体の解散は、前提となる刑の確定がまだであるため、今のところ実施されていない旨、報告しました。この法律の適用については、特定的に列挙された違法行為に関し、法人の有罪判決、もしくは、その法人の法的責任者もしくは実質的責任者の有罪判決が、2件確定することを前提としています。」
司法
政策の準備及び実行に寄与する体制
「セクト問題に取り組むため、司法機関は3つの主要方針を打ち立てました。それらは、(1)検察庁内部にセクト問題の連絡員を任命、(2)司法官と反セクト団体の情報交換、(3)討議会の制度化、です。検察司法官は、地域レベルでの調整を図りつつ、訴訟手続きを行うことになります。今のところ、こうした司法官の任命以外に、セクト団体関連の案件を扱う特別な機関を設置することは、時宜を得ていません。実際問題として、人的もしくは物的な権利侵害の場合でも、刑法に係る訴訟であったり、特別法に係る訴訟であったり、多様です。また、司法官全員がこれらの問題について関心を持つということも重要です。このため、国立司法官学院では、この分野についての司法官の知識を完全なものにするよう、研修会を毎年開催しています。」
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